著作権表記に関して
インターネット上にあるCG静止画像やムービー、そしてWebページやPDFなどの書類の著作権表記として大体以下の3パターンが見受けられる。
- Copyright © <年> <著作権者名> All rights reserved
- © <年> <著作権者名> All rights reserved
- © <年> <著作権者名>
どれが適切で、どれがそうでないか、結論から言うと条件次第でどれも正しいが、今までに知りえたことを元に下記にまとめた。なお、ここでは日本国内だけに話を限定しない。
著作権関連法(条約)
上記3パターンの著作権表記を考える上で考慮する著作権関連法の主なものとして以下の4つがある。
- ベルヌ条約: 著作権保護に著作権表示等一切不要とする条約
- 万国著作権条約: 主に © に関して
- ブエノスアイレス条約: "All rights reserved" に関して
- アメリカ合衆国の著作権法401条: "Copyright" に関して
日本が関連するのは A と B。C は アメリカ(合衆国)と主に中南米。D はアメリカ国内のみ。
基本的に、殆どの国と地域において、著作権は著作権表記が無くとも保護される。なぜ表記を行うかの主な理由として、a) 国と地域による著作権の扱いの差異を埋めるため、b) 作品製作者(著者)としての名前を知らしめるため、そして c) 善意の著作権侵害を防ぐため、の三つが考えられる。
© 記号
1、2、3 すべての例にある © 記号は、B の万国著作権条約で規定している記号。著作権表記を行うのであれば、著作権者名と最初の発行年とともに必須。
"Copyright"
1 の例:
Copyright © <年> <著作権者名> All rights reservedにおける "Copyright" という表記は、D. のアメリカの著作権法401条が元になっている。ここでは、「© 記号、または (or) Copyright (もしくは"Copyr." という略号)」となっているが、実際には少なくない数のアメリカに本社のある会社組織が両方を表記している。これはこれでよくあることで間違いではない。いずれにせよ、この "Copyright" という表記使用は、「アメリカでは有効」ということになり、日本国内目的であれば表記することに意味はあまりない。
"All rights reserved"
1 と 2 にある "All rights reserved" という表記は、C のブエノスアイレス条約に由来する。基本的にアメリカ合衆国と中南米諸国で締結された条約なので、アメリカや中南米でのための表記。条約に加盟していない日本での表記は意味が無い (こちらも参照)。アメリカに拠点がある、アメリカで著作権を争う気があるということであれば書いておいて損は無いのだろう。中南米対象であればスペイン語 "Todos los derechos reservados" ないしポルトガル語 "Todos os direitos reservados" での記載が無難。なお、カナダはこの条約には加盟していないのでフランス語での追記は不要 (?)。
結論
殆どの (IT) 企業にとってアメリカは無視できないマーケットであり、アメリカのマーケットに最も最適な、もしくはそれぞれの会社の業務形態に即し法務担当者の判断に基づいた著作権表記が選ばれているため、1 や 2 の表記方法を目にすることが多いことがわかる。
個人のアーティストが自分の作品、Web ページなどに著作権表記を、アメリカに限らず、全世界に対して行いたいのであれば、 3 の
© <最初の発行年> <著作権者名>が最も適切といえる。この際、各要素の順番は重要でない。
参考 Webサイト および文献
- 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
- 公益社団法人著作権情報センター
- Wikipedia 著作権表示
- Wikipedia 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約
- Wikipedia 万国著作権条約
- CG-ARTS 協会 「デジタル映像表現」Pg. 320
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