Houdini ですべきこと・しないこと
ここ1年ぐらいで問い合わせが多かったことを元に Houdini ですべきこと・するべきではないことをここに羅列する。
なお、これは Houdini Apprentice Advent Calendar 2023 の 17日目の記事です。
0. インストール前
- すべきこと
- システム要件の確認:
- Windows/Linux: Nvidia GPU の場合、ドライバは Game Ready Driver (GRD) ではなく Studio Driver (SD) を使うこと。
- また Manage 3D Settings で Preferred graphics processsor: を High-performance NVIDIA processor にしておくのも重要。そうでないと起動しないこともある。
- Windows での Nvidia ドライバのバージョンの確認方法はこちら。
- MacOS: Houdini は Mac OS 上の Intel GPU には非対応。事実上 Apple Silicon ないし AMD 搭載システムが必須。
- 管理者権限の付帯
- 自分のパソコン (Mac含む) にインストールする場合、使用するユーザ ID (アカウント) に管理者権限を付帯する。そうしないとインストールやライセンスで問題が起きる可能性が高い。
- PC の省電力設定を確認、Houdini が常に専用 GPU を使い、CPU 内臓 GPU を使わないようにする。詳細はこちら。
- システム要件の確認:
- しないこと
- コンピュータ名 (hostname) にスペースを入れない
- Houdini のライセンスツールは、スペースを含むホスト名に対応していない。よって、"My Computer" はダメで、 "MyComputer" ないし "My_Computer" または "My-Computer" にする。
- 併せて、hostname には日本語を使わない。
H20 では日本語に対応しているはずだが、ホスト名がマルチバイト文字の場合、File -> Activate Apprentice がうまくいかない。古いバージョンを併用する場合にも使えない。
- ユーザ名 (username) もスペースなしの半角ローマ字のみが無難: リリースの度に改善されているが、ファイルパスにはマルチバイト文字が含まれないようにするのが無難。詳細はこちら。
- Houdini ラインセンスインストール後はコンピュータ名を変更しない。変更するとライセンスが無効になる。
- 商用ライセンスの場合、変更前にライセンスを返却する。
- Apprentice の場合、License Administratorを起動し、File->Install Apprentice を再実行。
- OneDrive は使わない (Windows)
- 厳密には Houdini インストール後だが、Houdini の設定ファイルを OneDrive に格納しないようにする。OneDrive にあると処理が低下して、障害を引き起こす可能性がある。具体的には、 環境変数 HOUDINI_USER_PREF_DIR を OneDrive 外のディレクトリに設定する。
- CPU の高温化で悩んでいる場合
- CPU のオーバークロックはしない
- Houdini のレンダリングやシミュレーション機能はスレッディング効率が非常に良いので、オーバークロックされているとすぐに高温になり、PC が暴走し、BSOD を引き起こしたりします。
- 省電力設定はすべてオフにする
- 省電力設定はレンダリングやシミュレーション時の計算を阻害する可能性があるので、この機能は OS (特に Windows 11) および BIOS の2か所でオフにし、常に最大パフォーマンスを得られるようにする。
- E コアもオフにする
- 特に最近の Intel CPU i9-13900/i9-14900 などの場合、Efficient-cores Support (BIOS メニューにある) もオフにする。
- Turbo Boost もオフにする
- 特に最近の Intel CPU i9-13900/i9-14900 などで、CPU ファンが常時高速で回っている場合など、Turbo Boost もオフにする。方法はこちら (YouTube: Jeffry)。
これらに関しては、別途まとめたい。
- CPU のオーバークロックはしない
- コンピュータ名 (hostname) にスペースを入れない
1. インストール
- インストールに関する基本情報はこちら。
- Launcher それとも(旧式)インストーラ、どっちが良い?
Launcher、旧式インストーラともに SideFX.com のダウンロードページから入手可能。- Launcher を使う理由
- 最新バージョンの Houdini を個人でインストールして使うには Launcher が望ましい(と思う)。
- SideFX Labs の個別インストールに対応している。
- 今後インストールサイズがさらに増大して、インストーラの構成で対応できなくなった場合、Launcher からインストールすることになる。
- コマンドラインインストール: Launcher をインストールすると、houdini_installer というコマンドラインツールも同時にインストールされる。これを使って、ライセンスツールのみのインストールなど従来よりも柔軟なインストール・アンインストールがコマンドラインで可能になる。
- 旧式インストーラを使う理由
- 慣れ: 今まで何度も旧式インストーラでインストーラを繰り返し使ってきたのであれば、現状では、無理に移行する必要はない(と思う)。
- Win10 の場合、旧式インストーラでインストールすれば Windows の Start メニューに Houdini とそのユーティリティツールが登録される。Lancher でインストールした場合、登録されない。
- 旧バージョンをインストールする場合: 特にLauncher 発表以前の過去のバージョン(例: H16.5 など) をインストールする場合、古いバージョンのインストーラを見つけてきてインストールする方が早い。
- トラブル対応: Launcher でインストールして問題があった場合には、旧式インストーラで再インストールするとあっさり解決する場合が多い。
- 慣れ: 今まで何度も旧式インストーラでインストーラを繰り返し使ってきたのであれば、現状では、無理に移行する必要はない(と思う)。
- Launcher を使う理由
- プロダクションビルド? それともデイリービルド?
- ライセンスサーバ(ツール) のアップグレード
- ライセンスサーバがアーティストのコンピュータと別に存在していると忘れがちだが、少なくとも使用する最新メジャーバージョンのライセンスツールに保つのが無難。
- Houdini は下位互換性はあるが、上位互換性はない。つまり、H20 のライセンスがあれば、H19.5 とそれ以前のビルドをすべて起動できるが、その逆は真ではない。
- 基本的に、使用バージョンよりもが二つ古いバージョンのライセンスツールは、新しいバージョンに対応できない。つまり、H19.0 のライセンスツールでは、H20 のライセンスを扱うことはできない。 H19.5 の後半、H20 の開発が始まった後の H19.5 のツールであれば、H20 も認識する。「Houdini 20 のライセンスを扱うには、H19.5.516 以降のライセンスツールが必須」というのはこの理由から。
- また、 H18 以前の HTTP のみ対応で HTTPS 未対応のライセンスツールでは現在はライセンス処理が不可能。ライセンス自体が古くともツールは最新版を使うのが無難。
- 旧バージョンのインストール
基本的には、古いバージョンをインストールした上で、最新バージョンのライセンスツールのインストールも必須。つまり、1. 使いたいバージョン、2. 最新バージョンの順に両方のインストールが必要。例えば、北川さんの本で Houdini を勉強するのに H16.5 が必要な場合、- H16.5 のダウンロードおよびインストール:
- H20 をダウンロードおよび License Server 込みでインストール。
2. Houdini ライセンス
Houdini のライセンスに関する基本情報はこちら。
- Houdini Apprentice のライセンスについてはこちら。
- Houdini の起動時に、「No server found running. Please start the server before retrying.」 というようなエラーが出た場合、こちらの要領で、サーバプロセスを再起動してみる。
- Mac OSX でライセンス関連の問題があった場合、ここにある 1~3 を試してみると良い。質問の問い方は千差万別でも、回答はこの FAQ を参照することが一番多い。
- 上記の方法で解決しない場合、もしくは他の OS の場合は、こちらを参照。
3. Houdini Indie
- Houdini Indie 製品情報
- SideFX.com と Steam とどっちで買うのが良い?
- www.SideFX.com 経由で購入した場合
- Steam 経由で購入した場合
- 2024年6月末時点では、Steam での為替設定が非常に低く (US$1 = 111~114円ぐらい) 設定されているため、現行の US$ で購入の www.sidefx.com で購入するよりも圧倒的に安い。
- その代わり、ライセンスおよびビルドはすべて Steam 経由のものを使うことになる。
- Houdini は何台にでもインストール可能だが使えるライセンスは一時に一台のみ。
- Steam で購入したライセンスを www.sidefx.com 以下で管理することはできない。
- Launcher 経由のインストールも不可。
- デフォルトインストールパスが異なるため、SideFX Labs のインストールも面倒。
- Steam での Houdini Indie FAQ はこちら。
- Houdini Appretince (または Houdini Education) から Houdini Indie へのファイル変換
- orbolt.comで出来る。
- Houdini ユーザ環境に Houdini Apprentice 由来の HDA (.hdanc または .otlnc) が一つでもあると、Houdini は Apprentice として起動しようとするので、Apprentice 由来のファイルは一度退避させるのが無難。
- Indie から商用版にアップグレードした場合
- Indie と商用版 Houdini Core または Houdini FX を混在させるのは、技術的 (商用版ファイルが Indie 版で保存される) にも EULA 的にも宜しくない。
- よって、個人であっても同一のライセンスサーバに両方のライセンスをインストールはしない
- また、Indie 由来の HDA があると、ライセンスが商用版であっても、シーンファイルが Indie フォーマット (.hiplc) で保存される。よって、Indie 由来の .hdalc または .otlc などは自分のパスから排除すること。
4. 知っておくと便利なコマンド
以下のコマンドをコマンドラインで実行することで、問題があった場合に、ハードウェア情報を知ることができる。
- hconfig
- ユーザ環境を出力する。詳細はこちら。パスに日本語文字が含まれている場合は、それを取り除くようディレクトリなりユーザ名を変更するのが良い。
- hgpuinfo
- GPU 情報を返すので搭載されている GPU と認識されるドライバのバージョンがわかる。
$ hgpuinfo.exe OpenGL Vendor: NVIDIA Corporation OpenGL Renderer: Quadro M2000M/PCIe/SSE2 OpenGL Version: 4.6.0 NVIDIA 442.92 OpenGL Shading Language: 4.60 NVIDIA Detected: NVidia Professional 4096 MB 442.92.0.0 以下省略 (なお上記は Windows 機)
- 例えば、Intel (CPU 内のGPU) と Nvidia 等のように、使用コンピュータに複数のGPUデバイスがある場合、それらをリスト表示する。
- それ以外のフラグと使用方法の説明が表示される。
5. Houdini Engine
Houdini Engine に関する基本情報はこちら。
6. 次のステップ
インストールとライセンスだけで結構な量になったので、これ以外はまた別の機会に。
最終更新: 2024-11-07
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