2021-12-11

Houdini Licensing

ここでは、Houdini のライセンスツールに関する基本情報を紹介。

なお、Houdini 21.0 のライセンスを扱うには Houdini 20.0 以降のライセンスツールが必須。ビルド番号はリリース版以降であれば、どれでも良い。Houdini 20.5 のライセンスを扱うには、H19.5 以降のライセンスツールが必須



ライセンス概要

Houdini の実行にはライセンスが必要で、 無償体験版である Houdini Apprentice にもライセンスは存在し、Mantra や Karma によるレンダリングにもそれぞれライセンスが必要である。各製品に付属するライセンスの文字列とその本数はここ (FAQ 文字列) に出ている。

例えば、Houdini FX LAL ライセンスを1本購入すれば、Houdini FX LAL のライセンス1本の他に、Mantra ライセンスが 10本、Karma ライセンスが 10本同梱されているので、レンダリングは10台までのコンピュータ上に分散させることが可能。

シミュレーションなりバッチ処理を Houdini 本体とは別に実行するには、Houdini Engine のライセンスが必要。例えば、大規模流体シミュレーションを4台のスレーブコンピュータ上で分散実行したい場合、4本の Houdini Engine ライセンスが必要(この実行方法はこちら)。

Houdini のライセンス形式

Houdini のライセンスは、ノードロック形式とフローティング形式に大別でき、商用版 Houdini Core, FX, Engine ではライセンス形式によって価格が異なる (比較)。

  • ノードロック形式: コンピュータにライセンスを固定する形式。例えば、5台のコンピュータで Houdini を使いたい場合、5台それぞれにライセンスサーバの設定を行う必要あり。Houdini ではワークステーション (WS) ライセンスと呼ばれる。Houdini Apprentice および Houdini Indie は常にワークステーションライセンス。スケールしづらい。
  • フローティングライセンス形式: ライセンスサーバとクライアントを別々にし、ライセンスサーバにあるライセンスをクライアントが消費していく。この場合、ライセンスサーバを1台用意して、そこに5本のライセンスをインストールすれば、任意のクライアント5台まで Houdini が使えるようになる。クライアントに Houdini のインストールは必要だが、ライセンスサーバの設定は不要。Houdini では LAL (ローカルエリアネットワーク) と GAL (グローバルエリアネットワーク)に分かれる。スケールしやすい。
  • WS, LAL, GAL の違いはこちら
  • 商用版及び教育版付属の Mantra と Karma は常にフローティングライセンス (GAL)。Apprentice と Indie 付属のものはノードロック (WS)。
  • 無償の Houdini Engine for Unity/Unreal も常にフローティングライセンス (GAL)。

これらが、どのように実際に動くかはこちらの図を参照。

ライセンス数のカウント

Houdini, Houdini Engine, Mantra, Karma のライセンスは、CPU 数やコア数ではなく、コンピュータ単位でカウントされる。つまり、1台のコンピュータに CPU が複数乗っていたとしても、コア数が6個でも64個でも、複数のユーザによる複数のプロセスを実行しても、そのコンピュータが消費するライセンス数は一つ。
例外は Docker で、Docker の場合実行コンテナ数でライセンスが消費されるので単一のコンピュータ上で複数の Docker コンテナを実行した場合には、その数だけライセンスが消費される。

    Houdini ライセンスサーバを Docker コンテナとして稼働することは出来ない。

ライセンス購入からインストーのル手順

ライセンスの新規購入の際には、 SideFX 側のライセンスDB にユーザアカウントが作成され、ユーザ情報が登録される。ユーザ情報には、会社名や住所の他に、ライセンス管理メールアドレスが必須で、このメールアドレスでアカウントを有効化すると、 SideFX にログインして実際のライセンス運用を行うことできるようになる。追加購入や年間保守 (AUP) 更新などはこのアカウントを通じて行われる。

Houdini 製品の購入が完了すると、購入製品に対応するエンタイトルメントがアカウントに登録され、エンタイトルメントがあることがライセンス管理メールアドレスに対して送られる。このエンタイトルメントを、フローティングライセンスの場合はライセンスサーバ、ノードロックライセンスの場合は個別のコンピュータ上で Redeem (取得=インストール) することでライセンスが使えるようになる。

    エンタイトルメントを Redeem せずに www.sidefx.com 上においておき、ライセンスサーバを www.sidefx.com に設定すれば ログインライセンス方式で使うこともできる。

ライセンスの取得 (Redeem) には License Administrator を使用する。GUI のない環境では sesictrl を使う。

ライセンスツールの種類

Houdini のライセンス管理は、以下の4つのツールで行われている。詳細はこちら

  • License Administrator (GUI 付きのライセンス管理ツール、hkey とも呼ぶ)
  • sesictrl (コマンドラインで使用するための License Administrator の GUI 無版)
  • hserver (名前とは裏腹にライセンスクライアント。 Windows の場合サービス: HoudiniServer)
  • sesinetd (ライセンスサーバ。 Windows の場合サービス: HoudiniLicenseServer)

Houdini 本体をインストールせずにライセンスツールだけインストールすることも可能。

使用する Houdini のバージョンにかかわらず、ライセンスツールのバージョンは最新が望ましい。詳細は以下の「ライセンスの互換性」を参照。

Houini Apprentice のライセンス

  • インストールした Houdini をライセンス設定なしで起動すれば、起動時に Apprentice ライセンスをインストールするかどうか選択可能
  • H19 以降では、起動時にライセンスのインストールを選択しなくとも、License Administrator の File -> Activate Apprentice を実行すれば Apprentice ライセンスのインストールが可能。
    • H20.0 より File->Remove Apprentice License で Apprentice ライセンスを削除することも可能になった。
  • Houdini Apprentice のライセンスはインストール日から 30日間のみ有効。SideFX は常に最新のプロダクションビルドのインストールを推奨している。プロダクションビルドは大体ひと月に一回リリースされるので、失効したら新しいプロダクションビルドビルドをインストールし、再度 Activate Apprentice を実行するのが無難。
  • Houdini Apprentice のライセンスは返却やログインによるサービスには対応していない。
  • Apprentice のライセンスに関する FAQ はこちら
  • Houdini Apprentice では、特許関連の理由により、MacOS 版を除き、Mplay からの MP4 出力で H.264 および H.265 を扱えない。詳細はこちら

ライセンスファイルの場所

  • Windows: C:\Windows\keys\licenses
  • Linux: /usr/lib/sesi/licenses
  • Mac: /Library/Preferences/sesi/licenses

詳しくはこちら

ライセンスの互換性

Houdini のライセンスは後方互換性がある。つまり、Houdini 20 のライセンスがあれば、それ以前のバージョンの Houdini をすべて起動可能 (厳密にはバージョン3以降)。よって、Houdini 19.5 ないし Houdini 20 のライセンスで、 Houdini 16.5 などの古いバージョンの Houdini も起動可能。

  • Houdini のライセンスおよびライセンスツールに下位互換性はあるが、上位互換性はない。よって、H19.0 のライセンスで H19.5、H20.0、さらにそれ以降の Houdini を起動することはできない。
  • 基本的に、二つ前のライセンスツールで最新のライセンスを扱うこともできない。つまり、H19.0 のライセンスツールではH19.5 のライセンスを扱うことができたとしても、H20.0 のライセンスには非対応。
  • セキュリティ上の理由により、H18 以前の HTTP で交信するライセンスツールは www.sidefx.com と交信不可能になってしまったため、ライセンスツールも HTTPS 対応の最新ツールを使うのが無難。
  • 旧バージョンのインストーラは FTP サーバから可能。 Windows の場合、リンク (ftp://ftp.sidefx.com/public) を エクスプローラー (通常のウィンドウ) のアドレスバーにペーストする。
  • 北川さんの本で勉強するために Houdini 16.5 を使いたい場合、H16.5 を同バージョンのライセンスツール無しでインストールするか、インストールしてから最新版の Houdini の Licesne Server をインストールするのが必須。

ライセンスサーバの設定

「Houdini ですべきこと・しないこと」の「インストール前」の部分に目を通し、特に、 Houdini をインストールするもしくはライセンスサーバとなるコンピュータでは以下を留意する。

  • コンピュータ名 (hostname) にはスペースを含めず、半角英数字のみで定義する。
  • Houdini ラインセンスインストール後はコンピュータ名を変更しない。変更するとライセンスが無効になる。

ライセンスサーバの指定は License Administrator の File->Change License Server... で行う。

上記の場合、ローカルネットワークにある debec というライセンスサーバが見つかり、これだけがライセンスサーバとして指定されている。

ログインライセンスとして www.sidefx.com をライセンスサーバとして使うのであれば、下段で '+' キーをクリックして、上段に移し、順番を必要に応じて入れ替え、Accept を教えて確定する。

コマンドラインで行うには、

    hserver -S <サーバ名>

    ローカルホストを強制的に参照させるには
    hserver -S "http://127.0.0.1:1715"
    とすることも可能。

コマンドラインで現在のサーバ名を確認するには
    hserver -l

ライセンスが認識されているか確認するには、

    sesictrl print-license
    すると、以下のように返ってくる。これは診断情報の一部でもある。
    sesictrl print-license output:
    ==============================
    ----- SERVER http://localhost:1715 --------
    Lic d99a39f2:    1 "Houdini Engine Education 21.0" Generic    25-sep-2025 +.*.*.*,192.168.*.*,10.*.*.*,172.*.*.* debec
     0 license(s) in use. 1 licenses free. 1 in total.
    Lic d3b8d6f8:    1 "Renderer (Indie/Apprentice) 21.0" Generic    25-sep-2025 +.*.*.*,192.168.*.*,10.*.*.*,172.*.*.* debec
     0 license(s) in use. 1 licenses free. 1 in total.
    Lic 6554b477:    1 "Karma Renderer (Indie/Apprentice) 21.0" Generic    25-sep-2025 +.*.*.*,192.168.*.*,10.*.*.*,172.*.*.* debec
     0 license(s) in use. 1 licenses free. 1 in total.
     
     

サーバのデイジーチェーン化

H18 以降、LAL ないし GAL ライセンスであればサーバのデイジーチェーン化にも対応。

    上のパネルにある debec と www.sidefx.com (SideFX Login Server) の二つ両方をコマンドラインで指定するには
    hserver -S "debec;https://www.sidefx.com/license/sesinetd"
とする。

Proxy の設定

社内でプロキシサーバを使用している場合、License Administrator の File->Preferences に行くと Proxy サーバの設定の項があるので、必要に応じて設定する。詳細はこちら

ライセンスツールに必要なポート

License Administrator は、 H18 以降 HTTPS で www.sidefx.com にアクセスし、ライセンスのインストールなり返却なりの処理を行うようになった。このデフォルト HTTPS ポートは 443。 H18 以前は HTTP でポートは 80 を使っていたが、この通信方法にはセキュリティ上の理由でもう対応していない。

ライセンスツール間の交信

こちらの画像の通り、ユーザが Houdini 本体を起動しようとすると、

  1. Houdini が同じコンピュータにある hserver と通信
  2. hserver が ライセンスサーバである sesinetd と交信してライセンスのチェックインを試みる。

Windows の場合、hserver と sesinetd はサービスなので、Windows キー+R で services.msc を起動し、「H」の項に行くと、HoudiniLicenseServer と HoudiniServer がある (上の画像参照) が、

  • HoudiniLicenseServer = sesinetd: ポート 1715 を使用
  • HoudiniServer = hserver: ポート 1714 を使用
ポート 1714 と 1715 が開いていて、この二つのサービスが走っている状態 (Running) で、両方とも Startup Type が Automatic であることが望ましい。 ポート1715 の開け方はこちら

ライセンスサーバ (プロセス) の再起動

Houdini 起動時に

No server found running. Please start the server before retrying.
というようなエラーメッセージが表示された場合、または、診断情報ファイル (19行目前後)
   License server is running:           No
と表示がある場合など、ライセンスサーバプロセス (Windows の場合、サービス) を再起動する。これには、License Adminstrator の File -> License Tool Service でパネルを開き、Sesinetd および Hserver の両方で Start ボタンをクリックする。

または、こちらの要領で、ライセンスサーバプロセス及びクライアントプロセスを再開する。

ログファイルの場所

解決できない場合

ライセンス診断情報を出力、ここのいずれかの方法で問い合わせる。

まとめ

ポート一覧

  • HTTP: 80 (H18 以前)
  • HTTPS: 443 (H18 以降)
  • hserver: 1714
  • sesinetd: 1715

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最終更新: 2025-09-23

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